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投稿日:2022年04月05日
/ 更新日:2023年10月13日

 この記事は、交通事故で死亡した被害者の遺族の方が相手に対してどのような損害賠償請求ができるのか、損害賠償金額はどれくらいが適正なのか、保険会社の提示金額が適正なのかなどがわかるように弁護士が解説をします。
 営利企業である保険会社から提示された示談金額は、弁護士に依頼したときに獲得できる金額よりも少ないことが多く、被害者の方やその遺族の方が騙され又は不当に低い金額で示談を迫られているケースもあります。

交通事故で死亡した被害者の遺族が請求できる損害

主には、慰謝料(①被害者本人と②遺族)、逸失利益(将来得られたはずの収入)、葬儀費用、その他(治療費、付添看護費、入通院交通費、入院雑費、弁護士費用など)について、損害賠償請求をすることができます。
主な損害項目となる慰謝料、逸失利益、葬儀費用についてご説明していきます。

死亡慰謝料・交通事故被害者とその遺族の慰謝料

 交通事故で死亡した被害者遺族が請求できる慰謝料(精神的損害に対する金銭賠償)としては、①被害者本人の慰謝料と、②遺族固有(遺族自身)の慰謝料とがあり、あわせて2000~3000万円の範囲が相場です。
 死亡による慰謝料は、被害者の年齢や家族構成などその属性により、以下の金額の範囲で決定されます。

 ①その収入によって世帯の生計を維持している場合(一家の支柱)には、2700万円~3100万円
 ②一家の生計を経済的に支える立場にはないが、一家の支柱と並ぶ重要な地位を占めるなど、一家の支柱に準じる場合には、2400万円~2700万円
 ③独身や被扶養者の立場にあるような場合は2000万円~2500万円の範囲で決定されることになります。

死亡慰謝料の詳細(慰謝料が増額できる場合など)を確認したい方は、こちらの記事「交通事故で被害者が死亡したときの慰謝料及び相場」をご覧ください。

死亡逸失利益

 逸失利益とは、被害者が将来にわたって得られたであろう利益(収入)のことをいいます。そのため、死亡による逸失利益とは、被害者が生存していれば、得られたであろう経済的利益のことをいいます。交通事故による死亡事案について、被害者の相続人となる遺族は、加害者に対して被害者の逸失利益を賠償請求することになります。

<逸失利益の算定方法>
 死亡による逸失利益は、

  ①被害者の基礎収入額(基礎年収)×②(1-生活費控除率)×③労働能力喪失期間に対応する中間利息控除係数

によって算定されます。

 詳細は、死亡逸失利益のページでご紹介します。
 ①基礎収入額は、原則として事故前の実際の収入額です。
 ②生活費控除率とは、生活費相当分を控除するために用いられる係数で、被害者の家庭内の地位に応じて原則として30~50%の範囲内の数値とされています。
 ③就労可能年数は、原則として、満67歳となるまでの期間とされますが、高齢者の場合は平均余命年数の2分の1の年数とされています。

葬儀費用

 葬儀関係費用については、150万円程度が相場です。判例上、葬儀費用のほか、墓碑建設費、仏壇購入費用なども対象となります。葬儀費用の基準は、通常130万円~170万円とされており、現実の支出した費用が基準額に満たない場合には、現実の支出額(実費)が損害額となります。
 
 葬儀関係費用が認められるためには、入院雑費のように入院の事実から認定されるということはなく、葬儀関係の領収書類をすべて提出して初めて認定されることになります。社会的地位などの被害者の属性など個別具体的な事情を詳細に立証すれば、高額な葬儀関係費用が認められる場合もあります。
 なお、法要、仏壇・位牌購入費などは一定額が損害額として対象となりますが、香典返しや弔問客への接待費などは損害として認められない傾向にあります。

治療費・入院雑費・付添看護費その他

 治療関係費付添看護費入通院交通費入院雑費弁護士費用などが挙げられます。
 これらの被害者が交通事故によって生じた直接的な損害(積極損害)は、死亡事案においても、交通事故によって即死した場合等を除き、通常、入通院などによる加療期間があるため発生することになります

死亡交通事故を弁護士に依頼するメリット

適切な損害賠償額で示談できる

 簡単にいえば、損害賠償の額が大幅にあがる可能性が高いという点にあります。通常、相当軽微な事故を除けば、1.5倍から2倍程度に上がることがよくあります。大きい場合ですと、3倍以上に上がることもあります。
 
 その理由は、損害賠償額を算定する基準には、①自賠責保険基準、②任意保険会社基準、③弁護士基準・裁判所基準があり、記載した順に高額になるのですが、加害者の保険会社が提示してくる示談金額は、通常、自賠責基準か任意保険会社基準によるものですが、弁護士が介入することで、③弁護士基準・裁判基準で損害賠償を受けられるからです。
 弁護士に依頼をすれば、自ら交渉しなくてよくなるだけでなく、損害賠償額の増額が期待でき、かつ、適切な損害賠償額を受け取ることができるようになります。なお、実務上、弁護士に依頼せず、弁護士以外の方が自ら裁判所基準を利用して損害賠償額を算定したうえ加害者の保険会社と交渉しても、示談に至ることは難しいのが実情です。

保険会社との交渉をしなくていい・弁護士に任せて安心

通常、何回も交通事故に遭う方は少ないでしょうし、被害者やその遺族に交通事故や保険について詳しい方も多くありません。これに対して、保険会社はプロであるため、被害者遺族との間には圧倒的な情報格差が生じています。
ただでさえ身近な人を亡くしてつらいのに、そのような状況で保険会社と交渉をするのは非常にストレスがかかり精神的につらいものです。
 弁護士に依頼をすれば、保険会社との交渉をしなくてよくなる他にも、事故状況の調査、過失割合に関する交渉、病院の記録の取り寄せなどをすべて任せられて安心です。

裁判になっても弁護士に任せていれば安心

 加害者又は加害者の入っている保険会社と示談金などで訴外で折り合いがつかない場合には、通常、裁判に移行することになります。
 提訴する場合には、裁判所に書面や証拠を提出することが必要になりますが、書面の作成は専門的で難しく、書面の作成に必要な調書やカルテなどの証拠の収集が必要となり、手続きも複雑で長い時間が必要となります。また、裁判になると終結までに何年もかかったりする場合もあります。
 その点、弁護士は裁判のプロですから、書面の作成から期日の出廷まですべて代わりに行うことができますので、被害者の遺族本人が訴訟を追行するよりも、物心両面で負担が非常に小さくなります。

いかり法律事務所は交通事故に関する相談・解決実績が豊富

 死亡事案では、交通事故状況の確認が難しいことが多いのですが、いかり法律事務所では、事故状況を独自に調査するとともに、外部の医療調査会社や交通事故状況の調査会社とも連携して、徹底した調査を行います。
 また、いかり法律事務所は、交通事故案件について裁判により解決した実績が豊富にありますので、訴外で示談に至らず、裁判になった場合にも安心して解決までお任せいただけます。
 特に死亡事案については、損害賠償金額が多くなる傾向があるだけでなく、過失が争われることも多いため、すべての死亡交通事故では、交通事故に強い弁護士へ相談をすることをお勧めします。
 死亡事案について、加害者への損害賠償請求を検討されている方は、是非一度福岡の弁護士法人いかり法律事務所にご相談ください。