物損事故

交通事故に遭い、乗っていた車両が損傷した場合、どのような損害賠償請求ができるのでしょうか?

確認すべき事項

主に何を請求できるか?

車両本体の損害として請求できる主なものは2つに分けられ、①を請求する場合と②を請求する場合は、請求できる場面が異なります。
以下のフローチャートを参考にしてください。

  • ① 修理費用相当額
  • ② 買替差額=事故直前の車両時価+車両買替諸費用-事故車の売却代金

質問A

車両の損傷が著しいために修理が不可能であるか?
あるいは、車体の本質的構造部分に重大損傷が生じ、買替えが社会通念上相当な場合か?

はい
買替差額の請求
いいえ
質問Bへ

質問B

修理見積額 > 事故直前の車両時価+車両買替諸費用となるか?

はい
買替差額の請求
【この場合を「経済的全損」といいます。】
いいえ
修理費用相当額の請求

つまり、A:車両の損傷状況と、B:修理費用見積額、事故直前の車両時価と車両買替諸費用の合計額を比較することが重要になります。

そのほかに、修理工場までのレッカー代、修理期間中などに代わりの車両を使用した場合の代車費用(レンタカー代)なども必要性があれば、認められる場合があります。

事故直前の車両時価とは?

事故車両の車種、年式、走行距離等を考慮して、中古車市場においていくらで取引されているかなどを基準に判断します。

車両買替諸費用とは?

主なものとして挙げられるのは、買替えに要した登録費用,車庫証明費用,納車費用,自動車取得税です。

裁判例によって認められる項目は異なりますが、「新たに同種同等の車両を購入する場合、それに伴って支出を余儀なくされる買替諸費用は車両の取得行為に付随して通常必要とされる費用の範囲内で損害として認められる。」(東京地裁平成13年12月26日判決)とする裁判例がありますので、通常必要な範囲内のものであれば、認められると考えます。

物損事故の示談の際に注意すべき点

物損事故にとどまらず、事故によりけがをして人身事故でもある場合、相手方保険会社との示談交渉においては、物的損害の賠償における過失割合が、そのまま人的損害(治療費や傷害慰謝料等)に引き継がれる場合がありますので、ご自身にも過失があるとされている場合は、過失割合にも注意を払う必要があります。

最後に

主な損害項目をご紹介いたしましたが、事案によっては、他にも請求できる損害項目がある場合があります。大した金額じゃないからと、ご自身で解決される方が多いのですが、弁護士に頼む必要がないと即断せずに、ご相談ください。