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投稿日:2022年06月21日
/ 更新日:2023年10月06日

休業損害とは

休業損害については、こちらも併せてお読みください。
ここでは、会社役員の方の休業損害について、詳しく解説します。

休業損害とは、交通事故による怪我のせいで仕事を休んだために減ってしまった収入のことです。

会社役員の方の場合、そもそも請求できるかどうかが問題となります。
次に、請求できる場合であっても、報酬減額の全額を請求できるかどうかが問題となります。

役員報酬の休業損害が請求できるか

Q 治療期間中も役員報酬が満額支給されたのですが、休業損害を請求できますか?
A 請求できません

比較的短期間の休業の場合など、役員報酬が減額されないままのこともあります。
このような場合、収入減という損害が生じていないため、休業損害は請求できません。
ただし、会社が休業損害を肩代わりしていたといえる場合には、会社が加害者に対してその肩代わり分の一部を請求できることがあります(反射損害)。

役員報酬の休業損害の額は

Q 治療期間中、役員報酬が減額されたのですが、減額分全額を休業損害として請求できますか?
A 通常、一部のみ請求できます

会社の役員報酬は、「労務対価」の部分と「利益配当」の部分があるとされています。
休業損害として請求できるのは、「労務対価」の部分のみです。

報酬のうち「労務対価」部分と「利益配当」部分との割合は、会社の規模・収支・事業内容、その役員の地位・職務内容・報酬額、他の役員の職務内容・報酬額との比較、従業員の職務内容・給与との比較等の事情を踏まえて判断されます。

会社の損害(間接損害)を請求できるか

Q 社長が休業したため、重要な事業を行うことができず、会社に損害が出ました。会社が損害賠償を請求できますか?
A 原則として請求できません

社長と会社とは、法律上別人格と扱われるため、会社の損害(間接損害)について、社長の事故の加害者に請求することはできないというのが原則です。
しかし、社長=会社と認められる場合には、例外的に会社に生じた損害を請求できます
社長=会社と認められるかどうかは、会社の規模・収支・事業内容、その役員の地位・職務内容・報酬額、他の役員や従業員の有無等の事情を踏まえて判断されます。
例えば、ほかに株主も役員も従業員もいない、いわゆる一人会社の場合などです。

まとめ

会社役員の方の場合、サラリーマンの方(給与所得者)と比較して、休業損害に関して、多くのことが争点となり得ます。
少しでも気になることがあった場合には、弁護士に相談してみましょう。