物損事故
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物損事故
まず、車両の所有者を確認する必要があります。お持ちの車検証の所有者欄をみてください。物損事故では、事故により車両という物の所有権を侵害されことを理由に、損害賠償請求ができることになるため、原則として、車両の所有者でなければ請求はできません。
車両のローンが残っている場合は注意が必要です。このときはあくまでもローン会社が所有者になっているため、車両の使用者等は、事故による修理費用を負担するなどしなければ、物損事故による修理費等の損害の賠償請求をすることができない可能性があります。
次に、車両の損傷状況を確認してください。あらゆる角度から写真を撮って残しておくことが重要になります。大きくは、修理が可能かどうかで分けられます。修理が不能であるほど著しい損傷をしている場合は、⑶の修理費用を検討する必要はありません。
物損事故における損害項目を考えるにあたって、修理費用の額は非常に重要となります。修理費用は、主に自動車修理工場の見積書・請求書から認定されますので、できるだけ見積書などをとっておきましょう。
車両本体の損害として請求できる主なものは2つに分けられ、①を請求する場合と②を請求する場合は、請求できる場面が異なります。
以下のフローチャートを参考にしてください。
車両の損傷が著しいために修理が不可能であるか?
あるいは、車体の本質的構造部分に重大損傷が生じ、買替えが社会通念上相当な場合か?
修理見積額 > 事故直前の車両時価+車両買替諸費用となるか?
つまり、A:車両の損傷状況と、B:修理費用見積額、事故直前の車両時価と車両買替諸費用の合計額を比較することが重要になります。
そのほかに、修理工場までのレッカー代、修理期間中などに代わりの車両を使用した場合の代車費用(レンタカー代)なども必要性があれば、認められる場合があります。
事故車両の車種、年式、走行距離等を考慮して、中古車市場においていくらで取引されているかなどを基準に判断します。
主なものとして挙げられるのは、買替えに要した登録費用,車庫証明費用,納車費用,自動車取得税です。
裁判例によって認められる項目は異なりますが、「新たに同種同等の車両を購入する場合、それに伴って支出を余儀なくされる買替諸費用は車両の取得行為に付随して通常必要とされる費用の範囲内で損害として認められる。」(東京地裁平成13年12月26日判決)とする裁判例がありますので、通常必要な範囲内のものであれば、認められると考えます。
物損事故にとどまらず、事故によりけがをして人身事故でもある場合、相手方保険会社との示談交渉においては、物的損害の賠償における過失割合が、そのまま人的損害(治療費や傷害慰謝料等)に引き継がれる場合がありますので、ご自身にも過失があるとされている場合は、過失割合にも注意を払う必要があります。
主な損害項目をご紹介いたしましたが、事案によっては、他にも請求できる損害項目がある場合があります。大した金額じゃないからと、ご自身で解決される方が多いのですが、弁護士に頼む必要がないと即断せずに、ご相談ください。